NEWS CH.4
映像制作会社の移転先は文化財⁉︎ 大正生まれの画期的な建築「石崎汽船旧本社」に潜入
[愛媛県 松山市 三津]
2:22 文久2年創業「石崎汽船」の歴史
2:56 建築家 木子七郎が手がけた偉大なる建築物の数々
5:27 「石崎汽船旧本社」の屋内を探検!
8:42 大理石の暖炉もある!ノスタルジックな社長室
2023年4月、愛媛県松山市のとある会社が引っ越し作業に追われていました。
事務所を移転することになったのは、映像制作会社マチサポ。その引っ越し先が一風変わっているのです。それは……
なんと、国の登録有形文化財「石崎汽船旧本社」!
瀬戸内海で旅客船運航を行う「石崎汽船」の本社として、1924(大正13)年から2013年まで89年間使用された建物です。
設計者の木子七郎(きご しちろう)は、旧松山藩主の子孫・久松定謨(ひさまつ さだこと)の別邸として建てられた「萬翠荘(ばんすいそう)」や、1929(昭和4)年建設の登録有形文化財「愛媛県庁本館」などの建築を手がけたことで知られます。
石崎汽船旧本社の外壁の白いタイルは、萬翠荘と同じものを使用していると言われています。
柱を壁の外に出すデザインなど、西洋建築の特徴を持つ社屋。愛媛県内においては、鉄筋コンクリート造の建物の先駆けなんだとか。
壁や柱、梁などが一体化した鉄筋コンクリートの登場によって、フラットな屋上が造れるようになったそうです。耐久性の向上から、地下室の設計も可能に……!
屋上も地下室も、現在では当たり前に存在する設備ですが、木造建築が一般的だった当時の建築としては非常に画期的でした。ここに勤めていた人たち、きっと誇らしかったんだろうな〜!
部屋の用途に応じて天井高を変えるなど、木子氏による合理的な設計も面白い……。ハイカラな装飾品は全て特注なんだとか。
内装については、三津浜に精通する一級建築士・白石卓央さんの詳しい解説と共にぜひ動画でお楽しみください。まるで中を探検しているような気分になれますよ。
でも、映像制作会社のマチサポがどうしてここを事務所にしようと思ったんだろう?
社長の河野淳さんは、仕事で石崎汽船と関わっていたときから「外観が素晴らしい」と思っていたんだそう。
それから物件が貸しに出ているのを見て、運よく借りることができたと言います。どれだけ良い建物だと思っていても、文化財を借りようという発想に至るのがすごい……!
なんとも雰囲気のある社長室で「この場所から色々な映像で地域を盛り上げる発信ができたら」と語る河野さん。
本社社屋としての役割を終えてから10年ぶりに活気が戻り、地元の人や石崎汽船旧本社も喜んでいるのではないでしょうか。
長いあいだ三津浜を見つめてきた建物の歴史が、愛媛の情報を発信する会社によって再び動き始めています。
【基本情報】
放送日:2023年4月11日
放送局:南海放送
番組名:NEWS CH.4
取材先:石崎汽船旧本社/株式会社マチサポ
住所:〒791-8061 愛媛県松山市三津1丁目4-9
(編集:ノオト)
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