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四国に新幹線は本当に必要か? 新幹線導入がもたらす“光と影”に迫る

[愛媛県 松山市 南江戸 等]

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この動画の見どころ!
02:08
建設中のJR松山駅・新駅舎に潜入
04:34
「四国新幹線」構想の歴史
06:24
「西九州新幹線」開業がもたらした経済効果
11:04
新幹線導入による“光と影”

新幹線の登場と路線拡大により、「日本列島は狭くなった」という声をよく聞きます。

そんななか、新幹線が開通していない地域があるのをご存知ですか? 日本で唯一の“新幹線空白地帯”は、四国です。

「四国新幹線」構想の歴史は長く、国が「基本計画」路線に位置づけた1973年までさかのぼります。

しかし、具体的に着工へ動き出すことを意味する「整備新幹線」への格上げは、景気低迷などを理由に足踏み状態が続きました。

そんななか、これまで淡路島を通るルートを主張してきた徳島県が瀬戸大橋を通るルートを容認! このことで、ついに四国4県の足並みが揃ったのです。

「四国新幹線」導入の機運は確実に高まっています。2024年秋には新幹線開通も視野に入れて整備された、JR松山駅の新駅舎の完成も予定されています。松山空港からも近いこの駅が新幹線の停車駅になれば、まちづくりとの相乗効果も期待できるでしょう。

新幹線開通がもたらす経済効果は計り知れません。例として、2022年に開業した西九州新幹線のケースを見てみましょう。同線の出発駅である武雄温泉駅にほど近い老舗温泉宿「懐石宿 扇屋」(佐賀県武雄市)は、宿泊客数がコロナ前と比べて2~3割増加しました。

新幹線開業の影響について、扇屋の山下裕輔社長は次のように語ります。

「(これまで顧客の)市場が隣の福岡県を中心とした西日本一帯までだったんですね。その市場が、新幹線が通ることで首都圏を中心とした東日本まで伸びてるんですよ。だから、お客様が日本全国にいるという形になっています」

「もう、絶対に(新幹線を)呼ばないとだめですよ。呼んで繋げないとだめです。繋げることによって市場が広がるわけだから」

影響があったのは宿泊施設だけではありません。武雄市に移住する人も増加し、人口は大幅に増えました。西九州新幹線開業から1年間の沿線への経済効果は1736億円にのぼると言われています。

これは、是が非でも新幹線を開通するべき! ……と思いきや、西九州新幹線の開業はメリットばかりではありませんでした。

西九州新幹線と近いルートを走る並行在来線「長崎本線」の肥前鹿島駅は、1日22~23往復あった博多方面行きの特急が、新幹線開通を機にわずか7往復へと減らされています。加えて、長崎方面の特急は経費削減のため電化設備が撤去され、ゼロになりました。

自ずと、駅前からタクシーを利用する客数は激減。新幹線開業前と比べ、なんと1/4程度に減ってしまいました。佐賀県鹿嶋市内を走るタクシードライバーは嘆きます。

「新幹線が通ってから、ここ(肥前鹿島駅)は無人駅みたいになっちゃったもんね」

市内の企業の4割からは「出勤や出張に影響が出ている」という声が上がり、なかには「非常勤の医師の出勤が間に合わなくなり、診療時間を変更した」と報告する病院まで存在します。新幹線導入による“光と影”が、そこにはありました。

四国新幹線は必要か、それとも不必要か? 誰かにお任せにするのではなく、当事者である住民が一人ひとり真剣に考えることが大事なのでしょう。

【基本情報】

放送日:2023年9月27日

放送局:南海放送

番組名:NEWS CH.4

取材先:懐石宿 扇屋(〒843-0022 佐賀県武雄市武雄町大字武雄7399)、武雄市役所(〒843-8639 佐賀県武雄市武雄町大字昭和12−10)、鹿島商工会議所(〒843-8639 佐賀県鹿島市高津原4296−41)

(編集:ノオト)

のぞポンライター

寺西ジャジューカ

東京生まれ東京育ち……だけに、地方のおいしいものに憧れがある。子どもが好きそうな食べ物が好き。

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